基礎プロジェクト2:見学3レポート

トップページ >> 授業概要 >> 基礎プロジェクト2 >>
提出:2003/06/26

シミュレーション基礎プロジェクト2
三菱重工業レポート
関村 直人 教授

30777 梅城 崇師

三菱重工業(株)横浜製作所本牧工場の鉄構部門、修繕船部門において見学した、橋梁、大型船の補修などのものづくり現場の内容について、興味を持ったところをまとめよ。また、環境負荷低減、持続的発展可能な社会構築に向けた現場レベルの取り組みについて調べよ。

 見学は鉄構部門から行われた。ここでは、水門、タンク、橋梁などが作られている。
 見学の最中に、鉄板に部材を溶接したものを見ることができた。鉄板が妙に歪んでいるなと思ったら、溶接によって歪むのだという。歪んだものは巨大なプレス機で数百トンの圧力をかけ、強制的にもとに戻すが、機械では戻せない部材も存在する。その場合に活躍するのは、なんと職人であるというのだ。実際にバーナーを使っている作業員もいて、その様子も見ることができた。歪みが規定値以内に収まるまで、作業が続くという。
 実際に橋梁などの部材ができた場合、仮組みを行い、実際に接合できるか、ボルト穴にボルトが入るかを全て確認する。そして、発注者の確認をとって、分解し、塗装し、現場に発送するわけである。この仮組みという工程のために、屋外に広大なスペースが用意されている。
 しかし、現在、この仮組みを行わない手法が開発されつつある。それは、デジタルカメラで部材を撮影し、ポイント同士がうまく接合できるかをシミュレーションするという方法である。実際にこの方法を行い、仮組みを行わない場合もあるというが、顧客の意向などもあって仮組みも一部で行われている。
 この方法で技術的に一番難しい点は、部材の構造をどのようにしてパソコンに取り込むかということである。現在、3次元座標のパソコンへの取り組みは、モーションキャプチャーをはじめとして飛躍的な進化を遂げており、その中でも日本はトップクラスである。このような環境の中で、ここでは、デジタルカメラにより、ポイントとなる部分を多角度から撮影し、その視差によって、座標を得るという方法を用いているということである。
 実際に座標を取り込んでしまえば、3次元CAD等の設計データと照合したり、組み立て後の姿をシミュレーションできたりと様々な応用が考えられる。また、加工途中で計測を行い、修正箇所や修正しなくてもよい箇所を早期に発見することで、作業日程が短縮できることも期待される。
 得た座標の精度や、計測アルゴリズムの詳細については詳しくはわからないが、実際に仮組みを行わない顧客もいることからもわかるように、かなりの精度を得ることができるということであり、今後仮組みがなくなることも十分考えられることである。しかし、そのためには、精度の向上はもとより、計測の簡便性、複雑な構造への適応性、顧客への説得力、実施価格、計測期間など様々な要素が求められることは間違いなく、これらをクリアして仮組み工程の廃止へむけて頑張ってほしいと感じた。

 他にも鉄鋼部門では、30mm厚の鉄板まで切断できるレーザー切断機や、自動の面取り装置なども設置されていた。ちなみに面取りをしないと、そこから塗装が剥げて錆が進行するそうである。また、工場内には大きなものは100トンから、小さなものは5トンまで、大小いくつものクレーンがあり、更に何気においてある小型パケットに「自重0.3t」とあるのを見るなどして、「重さ」というものを肌で感じた。

 横製では、修繕船部門も見学した。中国などとの競争のため、高い技術力が必要とされるLNG船等の修繕を行っているということを聞き、国際競争ということを改めて実感した。また、1号ドックに船は入っていなかったものの、ドックの巨大さに感嘆とした。これほどの巨大なものを、わずかな日数で、しかも高い技術で仕上げなければならないということを思うと、現場の能力というものにただ驚くしかなかった。


 横浜製作所では、2001年4月に「廃棄物ゼロ事業所」を達成している。つまり、事業所からゴミとしてではなく、リサイクルとして排出しているのである。
 先に行われた五月祭でもごみを10種類に分別して、リサイクル率を高めている。ビニールやプラスチック、紙くず等はサーマルリサイクルといい、燃やして熱源として利用するリサイクル方法が取られている。しかし、それでも不燃物等は埋め立てに回しており、100%のリサイクルは難しい。
 リサイクルする上で重要なことは、きちんと分別することである。横製では、ごみを30種類に分別している。また、分別ステーションというごみを分別して捨てる場所を設けている。製作所らしく、ごみの中でも大きな比率を占めるのは金属くずであり、これは鉄クズとして再利用している。また、通常は埋め立てるしかない不燃ごみも、路盤材としてリサイクルしたり、廃油は燃料や溶剤抽出などを行ったりするなど、執念ともいえるリサイクルを感じることができる。
 横製では工場内にリサイクルセンターも設置されており、ごみを分別した後の処理も、できるだけ内部で行おうと努力しているように見られる。見学途中通路にあったように、物置1つ分はあるような、生ゴミ処理機をはじめ、汚泥炭化設備、廃プラ圧縮機、排水ダイオキシン分解装置などが設置されている。これは、リサイクルを進めることで、資源循環型社会の構築に取り組みながら、その過程で得られた経験を自社製品でもある環境装置の開発や販売に活かせるという、強みもあってのことであろう。
 このようなリサイクルの精神は、何もごみに限ったことではない。排気や排水も定期的に測定することで、大気や水質の汚染を防止するだけでなく、水のリサイクルも進んでおり、横製で使用されるリサイクル水の量は年々増加している。
 このような活動と平行して、ISO14001も取得している。
 ISO14001といのは、1992年の地球環境会議において採択されたアジェンダ21をフォローする目的で1996年9月に国際標準化機構が定めた、環境マネジメントシステムをどのように構築すればよいかを定めた仕様書です。このISO14001は現在でこそ1万件を突破している環境規格であるが、それを1997年10月という、まだそれほど知られていない極めて早い時期に取得しており、横製の環境への取り組みがいかに迅速で優れたものであるかを示す一端であるといえる。

administrated by umekkii -> admin@umekkii.jp