第2巡:討論:松井 担当分

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発表:2003/05/29

基礎プロジェクト2 討論
「知識創造企業」

SIM 30801  松井 健太郎

1.はじめに
 「知識創造企業」を読み、考えをまとめていくにあたって、私は筆者たちの考 え方に完全に同意することはできなかった。いくつかの疑問点、意見の食い違う ポイントがあった。そこで、今回の討論を次のような形でまとめた。これから討 論を行うにあたって、少しでもその手助けになることを期待する。

【1】論点の提案
【2】それぞれに対する本文のまとめ
【3】疑問に思った点
【4】私の見解

2.討論1
【1】ミドル・アップダウン・マネジメントの効力について

【2】GEの例に示されるようなトップダウン・マネジメントにおける知識創造は、 専らトップがおこなっていて、形式知を扱うのには向いているが、第一線の 社員による暗黙知を創造するのには向いていない。一方、3Mの例に示され るようなボトムアップ・マネジメントにおける知識創造は、第一線の社員に よる暗黙知の創造には適しているが、創造された知を組織全体に広めること に関して、有効であるとはいえない。
 そこで提案されるのが、ミドル・マネージャーが知識マネジメントの中心 となり、トップとロアーを巻き込みながら知識を創造していくミドル・アッ プダウン・マネジメントである。本文の中では、キャノンのミニコピアが紹 介されている。

【3】ここで私が疑問に思ったのは、ミドル・マネージャーが知識マネジメント の中心になる必要性である。本文においても、トップダウン・マネジメント とボトムアップ・マネジメントにおいて、それぞれ成功例を挙げている。 GEにおいてはジャック・ウェルチの圧倒的な経営能力により、GEという 会社は当時成功を収めている。3Mにおいても、ディック・ドゥルー やアート・フライなどの企業的な社員をある程度信頼しきることによって、 成功を収めている。もし仮に、両社がミドル・アップダウン・マネジメント の会社であったときに、よりよい会社であるといえるのであろうか。果たし て優秀なミドル・マネージャーが知識創造を行っていたのだろうか。

【4】結論から先に言えば、私は組織の形は人材構成の後からついてくるもので ある、と考える。つまり、一番層が厚いところ、よい意味で競争が行われて いるところを中心にすえて、その結果としてマネジメントのスタイルは決ま ってくるのである。圧倒的な経営者がいるときには、経営者を中心に据えた トップダウンによる知識創造がおこなわれるべきである。もちろん経営者に かかる重責は計り知れないが。逆に、第一線の社員の層が厚いときには、ト ップは表出化の役割に徹することで、知識創造の補助をすることができる。 もちろんミドル・マネージャーの層が豊富なときには、本書の提唱する通り のミドル・アップダウン・マネジメントの形をとることがベストな選択であ ろう。意図的にミドルが豊富な人材構成にすることはどうか。私の見解では 答えはイエスではない。ミドル・マネージャーに適した人材でなければ、知 識創造を効果的に行えないだろうし、第一線でこそすばらしい働きをする社 員もたくさんいるはずである。
 その考えのもとに話を進めると、日本の企業の多くに見られるような、年 功序列に近い昇進制度が本当にあるべき形であるか、ということには多くの 疑問符がつく。ただなんとなく、順番がめぐってきたミドル・マネージャー に一体どれだけの価値があるのだろうか。とはいっても、実際は昇進という 目標がある以上、難しい問題である。
 要するに私がここで述べたいのは、適材適所の達成こそが、知識創造の最 も基礎的かつ重要なファクターである、ということである。

3.討論2

【1】チームワークの重要性について

【2】日産プリメーラや三菱新キャタピラーなどの、グローバルな製品開発の例 において、現地への技術者の派遣、隣同士の机で働き、プライベートな時間 まで一緒に過ごすことによって、共同化による密接な関係が築かれていき、 開発に成功した。このことによって知識変換を達成し、グローバルな知識創 造に成功した。また、「アメリカンフットボールスタイル」の構築により、 短期間で高品質な商品の開発に成功した。このように、日本の知識観と欧米 の知識観という、まったく趣を異にする知識創造の総合により、より進んだ 知識創造が可能になる。

【3】この話題について、基本的にはよい方法であると思うし、進んだ知識創造 も可能になると思うが、これが企業の成果であるか、ということに対して、 私は疑問を持った。本文前半部にも、仕事の後の一杯による横のつながりの 効果について少し述べられていたが、プライベートな時間をビジネスパート ナーと過ごすことも、仕事の後に飲みに行くことも、企業の手を離れている ことであり、知識創造「企業」ではないのではないだろうか。確かに、企業 が主体となって合宿や社員なら誰でも参加できる会合は、「企業」が主体と なっている。いったいどこまでを「企業」とよび、どこからが「個人」「プ ライベート」なのだろうか。

【4】このことに関して、私はこれというはっきりとした見解をもっていない。 あえて述べるとするならば、「個人」を大切にしてはじめて、「企業」が成り 立つと考える。就業時間を減らすことによって仕事の効率をより向上させた 例が本文にも紹介されていたが、就業時間外に関しても、「会社」から完全 に離れた時間を社員に与えることで、社員の視野も広がるように思える。た とえば、休日に接待ゴルフをすることは、おもてだった「労働」ではないが、 実質的には「労働」と変わらない。もうひとつ例を挙げると、勉強ばかりし てきて、一流大学を卒業した人間が、必ずしも有能な人間であるという保証 はない。むしろ、欠けてる要素をたくさん持っているようにも思える。何事 においても、バランスよくいろんなものを採ることが重要であると考える。
 本題から多少それてしまったが、「知識創造企業」の役割にも、このことは いえるだろう。バランスよくいろいろなものを与えてやることが、「企業」 の使命であり、遠回りなようで、知識を創造する上でも、有効な手立てであ るように思う。

4.最後に
 今回私がこの本を読んで疑問に思い、討論してもらいたいと感じたことは先に 述べたとおりである。結論としては、「どうすればより効率的、効果的な知識創造 を行うことができるか」ということにつながるだろう。皆さんの貴重な意見、討 論を聞き、この本に対する自分の理解を深めるとともに、このプロジェクトによ る「知識創造」を行えることを大きく期待して、今回の提案を締めさせていただ きたい。

5.おまけ
【1】太平洋戦争の勝敗の分かれ目は、ビュロクラシーとタスクフォースという 組織構造の違いに結びつくか。

【2】太平洋戦争の当時、日本軍は天皇を中心とした官僚型組織であったのに対 し、アメリカ軍は水陸両用のタスクフォース型組織を導入して、結果とし てアメリカは日本に対して勝利を収めた。このことを企業に応用して、ビ ュロクラシーとタスクフォースを組み合わせたハイパーテキスト型組織を 提案している(移行途上の例として花王、完全に移行しきった例としてシ ャープをあげている)。

【3】太平洋戦争の優劣は、本当に組織構造の違いによって生じたものであった のか。

【4】単純にいって、国力の差がそのまま勝敗に結びついただけであると思う。 仮に組織構造が逆であったとしても、アメリカが勝利を収めていたはずだ。 恐慌などに追い詰められて、戦争しか選択肢がなかった日本には、どう考 えても勝ち目はなかったように思える。同じことは、最近起こったイラク 戦争にも言える。つまり、このたとえはあまり説得力に富んでいるとは思 えない、ということである。

6.おまけ2
【1】日本企業は知識創造によって、今回の経済危機を競争力強化のチャンスに 変えることができるのか。
【2】ニクソン・ショックやオイル・ショックのときも、「日本の奇跡」の終焉が 懸念されたが、いずれの場合にも日本企業は知識創造によってチャンスに変 えてきた。筆者は今回もそうなると信じている。
【3】果たして、どうなのであろうか?

5,6はおまけなので、機会と意欲があれば、皆さん一人ひとりで是非考えていて欲し い。特に6の答えをポジティブな方向で見つけた人は、是非実践していってもらいたい。

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