第2巡:紹介:川崎 担当分

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発表:2003/05/22

基礎プロジェクト2
The Knowledge-Creating Company 知識創造企業
第1章・第2章 要約

担当 30786川崎真弘

第1章 組織における知識
<序論>
・日本企業は西洋人にとって謎である。
   Ex)非常に効率的ではない。企業家精神にあふれていない。自由奔放でもない。
・日本企業はなぜ成功したのか
  −製造力、安い資本コスト、企業と顧客、下請け、官庁との間の緊密な協力関係、 終身雇用・年功制などの人事慣行などが重要であるが、日本企業の成功の最大の 要因は、「組織的知識創造」の技能・技術である。
・「組織的知識創造」とは何か
 …組織成員が創り出した知識を、組織全体で製品やサービスあるいは常務システムに具現化すること。
・不確実性な時代背景
   (→数多くの経済的危機、それぞれのビジネス分野の急速な変化)
 −日本企業は常に変動する不確実な環境で、気を緩めたり、奢り高ぶることなく、変 化を予見し、新たなものを生み出していった。さらに、そのイノベーションは一度 だけではなく、連続的に起こった。 Ex)自動車産業
・日本企業はどのようにして連続的イノベーションを生み出すのか
  【1】、組織外の市場、技術、競争条件、製品などの変化を予測しながら、未来を構想する。
  【2】、過去の成功体験を捨て去るいさぎよさ。
     ⇔変化を恐れた三つの大企業(IBM,GM,シアーズ)
  【3】、外部知識との連携
     ・外→内…外部からの知識が、組織内部で広く共有され、蓄積していく。
     ・内→外…新製品、新サービスとして変換される。
・日本企業の競争優位
  知識創造 → 連続的イノベーション → 競争優位

1、競争力の源泉としての知識に関する最近の議論
・西洋での知識への関心
  ○ピークー・ドラッカー『ポスト資本主義社会』
    …知識は唯一の資源
  ○アルビン・トフラー『パワーシフト』
    …知識が他の資源すべてに取って代わる
  ○ジェームス・クウィン
    …企業の競争力や生産力はハードな資産より、知的能力やサービス能力
 →未来は知識を持つものたちのものである。
  …知識労働者、知識を管理する知力を持つ経営者、シンボリック・アナリスト
 →しかしながら、彼らは知識が創られる仕組みやプロセスを調べていない。
  だからこそ、日本企業の経験が役に立つ。


2、日本的知識創造の特徴
・西洋人の知識観−「情報処理機械としての組織」
 …知識は明白で、形式的、体系的なものと考えられている。
    →「形式知」…言葉や数字で表すことができ、伝達・共有が容易である。
・日本人の知識観
 ・‥知識は目に見えにくく、表現しがたい、暗黙的なものだ。
    →「暗黙知」…非常に個人的なもので形式化しにくく、伝達・共有は困難である。
           Ex)主観にもとづく洞察、直感、勘
・「暗黙知」の二つの側面
 【1】、技術的側面−「ノウハウ」
 【2】、認知的側面−スキマータ、メンタル・モデル、思い、知覚
・暗黙知を知り、その重要性を認識する意義
 【1】、全く違った組織観・知識観をもたらす
     …「情報処理機械」→「ひとつの有機的生命体」
     …西洋的知識−「学習組織」の裏にある「システム思考」→「心」による学習
      日本的知識−直接体験や試行錯誤による学習→「心」と「体」による学習
       ⇒「心身一如」
     「もっとも貴重な知識は教えることも伝えることもできない」
       →直接体験の重要性
 【2】、イノベーションの新たな認識−個人と組織の自己変革
     …アイデアと同じくらい、アイデアルをつくる。
     …新たな知識は外部から獲得するだけでなく、自分で創り出す。Ex)キャノン
     …内部と外部の濃密な相互作用が必要。
 【3】、西洋の知識観−日本的知識観へ移行する必要がある。


3、暗黙知を形式知に変える−ホンダ・シティの例
・日本企業の知識創造の特徴−「暗黙知から形式知への変換」
  Ex)ホンダ・シティ
   …ホンダの経営陣は極めて主観的な洞察や勘を、「冒険しよう」というスローガンで 表し、新製品開発チームを結成した。さらにそのチーム・リーダーも、彼の感覚 で「クルマ進化論」なるスローガンを打ち出し、そこから「マン・マキシマム、マシ ン・ミニマム」、「トール・ボーイ」という新しいデザイン・アプローチを開拓した。


4、知識創造の三つの特徴
  【1】、比喩や象徴の多用。
  【2】、個人の知が他人にも共有されなければならない、ということ。
  【3】、新たな知識は曖昧さと冗長性のただなかで生まれる、ということ。
<メタファーとアナロジー>
・メタファー…立場も経験も異なる個々人が想像力とシンボルを使って、ともに何かを直感的に理解できる。
・アナロジー…二つの事物のどこが似ていてどこが違うのかをはっきりさせる。
<個人知から組織知へ>
・新たな知識はいつも個人から始まり、組織全体にとって大事な知識に変換される。
 ←この作用を促進するのは、個人の自発的行動とグループレベルでの相互作用である。
<曖昧性と冗長性>
・曖昧性…新しい方向感覚の源泉であり、物事に新たな意味を見出したり、新しく考え直 すきっかけとなる。→新たな知識はカオスから生まれる。
・冗長性…情報を共有することにより、社員間に「認識上の共通基盤」を作り、暗黙知から形式知への変換を助ける。


5、知識創造の主役
 −知識創造は、第一線社員、ミドルマネージャ、トップ間の相互作用によって生まれる。
・第一線社員…特定の技術、製品、市場に関する情報は豊富であるが、そこから有用な知 識を生みだすことは困難である。
・トップ…一見ばらばらなビジネス活動を一つにするような共通項を含む、大きなコンセ プトを創ることで、社員に方向感覚をもたらす。
・ミドルマネージャ…トップの抱く理想と第一線の現実との橋渡しの役割を果たす。つま り、トップの暗黙知と第一線社員の暗黙知を統合し、形式知に変挽する。
  ⇒実際に知識創造プロセスを管理しているのは、彼らである。


6、ここからの旅路
・この本の目的
 【1】、西洋の学者とマネージャに日本生まれの知識創造理論を提示すること。
 【2】、日本企業の絶え間ないイノベーションがなぜうまくいったのかを新たに説明すること。
 【3】、日本と西洋の経営実践を統合し、それに基づいて企業経営の普遍的モデルを創り出すこと。
・これらの目的の達成には、広範囲の事柄を議論する必要があるが、焦点はただ一つ、「組織的知識創造」である。
・ここで二章から八章の内容紹介へと続くが、省略する。

第二章 知識と経営
1〜6、日本と西洋の知的伝統の違いについて(認識論へのアプローチ)
・西洋認識論の歴史
  ○知識−「正当化された真なる信念」(プラトン)
  ○西洋認識論の二つの伝統−合理論、経営論

<合理論>
「知識は理性の働きによって得られる」
プラトン

『大陸合理論』
デカルト「方法的懐疑」


<経験論>
「感覚経験だけが知識の源泉である」
アリストテレス

『英国経験論』
ロック「タブラ・ラーサ」


カント『超越論的観念論』
ヘーゲル『絶対的観念論』
マルクス−弁証法と社会科学の統合

デカルト的二元論の否定
| フッサール『現象学』、ハイデッガー−「現存在」の探求
| サルトル『実存主義』
| メルロ=ポンティ−知覚は身体行為
| ウィトゲンシュタイン『分析哲学』
↓ ジェームズ、デューイ『プラグマティズム』
知識と行動の相互作用の強調

・日本の知的伝統
  ○『主客一体』…人間と自然の一体化
     「感情的自然主義」
     →日本語の特徴…物理的・具体的なイメージが不可欠
     →独特の時空観…時間と空間の柔軟な捉え方
  ○『心身一如』…個人の直接体験の会得を重視
    西田幾太郎−知識は理論的思考ではなく、心身全体を使って得られる。
  ○『自他統一』…自己と他者との交流を大切にする
    「有機体的世界観」→「触覚的」、「共同主観的」認識方法
     →和を大事にしながら全体の一部として生きることが理想
・まとめ
 日本の知的伝統・・・身体と行為を重視
 西洋の知的伝統・・・デカルト的二元論
 →二項対立ではなく相補的な関係


7、経済・経営理論における知識
・西洋における経済学、経営学、組織論などの社会科学について
 →主体、精神、自己と、客体、身体、他人との区別(デカルト的二元論)


8、経済理論における知識
・マーシャル「新古典派経済学」
 ○経済事象における知識の重要性をはっきりと指摘した。
 ×既存知識だけに焦点を当て、知識創造には注意を払わなかった。
・ハイエク、シュムベーター「オーストリア経済学派」
 ○暗黙知の重要性(ハイエク)、形式知を連結する重要性(シュムベーター)の指摘。
 ×既成知識の効率的利用を論じただけ。連結は知識創造の1つのモードに過ぎない。
・ペンローズ−個々の企業の成長に注目
 ○企業に蓄積された経験と知識の重要性の指摘。
 ×知識蓄積の組織的メカニズムやプロセスにまで及んでいない。
・ネルソン、ウインター−経済変化と技術変化の進化論的理論
 ○技術の本質は知識である。
 ×知識創造をより大きな組織的プロセスに明確に結びつけることはしなかった。


9、経営・組織理論における知識
・テイラー「科学的管理法」←科学主義
 …大雑把なやり方を科学に置き換えて、生産効率を高めようとする試み。また、労働 者の経験や暗黙的な技能を客観的・科学的知識に形式化しようとする試み。
 →失敗
・メイヨー「人間関係論」←人間主義
 …士気、帰属意識、人間関係能力など人間的要素が重要。
 ×明確な理論的コンセプトを作り出せず、失敗。
・バーナード−科学的管理法と人間関係論の統合を試みた。
 …科学的知識と行動的知識、経営者の管理職能と道徳的職能の統合の重要性を理解。
 ×組織的知識創造プロセスについてはほとんど何もいっていない。
・サイモン−「情報処理機会」という組織観 ←科学主義
 …人間の認知能力には本来的な限界があるという前提に基づき、問題解決と意思決定 の科学的理論を構築しようとした。
 ×情報・知識の形式化の際、「行動的知識」、「暗黙知」を無視した。
 ×ある問題に含まれる曖昧性や多義性、組織における情報冗長性を無視した。
 ×組織の環境に対する関係を受動的なものと見た。
 ⇒人間が自ら問題を探し出し、それを解決するために知識を創造すると見なかった。
・コーエン、マーチ、オルセン「ごみ箱モデル」←人間主義
 …人間の問題解決と意思決定の本質は曖昧さと非合理性である、と主張。
  ×個人や組織の学習について触れていない。
  ×組織における能動的な知識創造の重要性についても明らかにしていない。
  ×組織全体を体系的な組織学習に統合することもしていない。
・ワイフ「組織的意味形成理論」←人間主義
 …共有された情報や意味が組織や行動に組み込まれるプロセスである「組織化」が繰り 返されることによって組織が成り立っている。
 ×受動的。「創造的カオス」という概念を取り入れていない。
●経営戦略の科学化
<科学的アプローチ>
・ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)による『PPM』
・ゼネラル・エレクトリック(GE)による『PIMS』
・ポーター…企業がいかにして競争優位を創造し維持するか、という問題を理解するための枠組みを開発。
 「五つの力モデル」…参入障壁、買い手の交渉力、原料・部品サプライヤーの交渉力、代 替製品・サービスの脅威、企業間のライバル関係
 「価値連鎖モデル」…ある企業のすべての活動がどのように連結しているかを調べる。
⇒科学的戦略論の知識観の限界
 …価値や信念の問題を取り扱えない。トップダウン・マネジメントである。知識の人間的側面への無関心。
<人間主義的アプローチ>
・ピーターズ、ウォーターマン…優良企業は、それぞれユニークな「企業文化」を持つ。
・シャイン…文化とは、グループ体験という学習の成果である。
・フェフアー‥・信念の重要性を強調。
 ⇒組織文化を構成するのはメンバーによって共有される信念と知識である。
・組織文化の研究の意味
 ○組織の認識システムとしての側面に光を当てた。
 ○知識の暗黙的側面をもっと詳しく研究する道を開いた。
 ○共有された意味体系としての組織が進化する能力を持っていることを明らかにした。
 ×人間のもつ可能性や創造性への関心が十分でない。
 ×人間を情報創造者というより情報処理者と見る。
 ×組織が環境を変革・創造する可能性を無視。


10、科学主義と人間主義の新しい統合
<知識社会>
・ドラッカー…「知識社会」の経済資源は「知識」であり、「知識労働者」が中心となる。
 ○組織は古い知識を捨て、新たな知識の創造を学習しなければならない。
 ×人間同士の相互作用や知識共有は無視。
<組織学習>
・学習−【1】「学習I」「シングル・ループ学習」…既存の枠組みを前提にノウハウを得ること。
    【2】「学習II」「ダブル・ループ学習」…新しい枠組みを打ち立てること。
・センゲ−「学習組織」という実践的モデルの提唱
  …「学習組織」とは能動的「創造学習」と受動的「適応学習」をもつ組織。
  …システム思考の重要性を強調。→推論と直感を統合する鍵を持っている。
・「組織学習論」の欠点
  ×知識を発展させることが学習であるという見方を欠いている。
  ×個人の学習ばかりで組織学習についての考察がない。
  ×「ダブル・ループ学習」への強い志向。
    →知識創造組織には既に組み込まれており、人為的な介入など不必要である。
<資源ベース・アプローチ>
  →企業の能力、力量、技能、戦略的資産などが持続的な競争優位の源泉である。
    ⇔ポーターの構造的アプローチ
・プラハラード、ハメル「コア・コンピタンス」←全社的な技能や生産技能に焦点
・ストーク、エバンス、シュールマン「ケイパビリティズ」−ビジネス・プロセスに焦点
  ⇒ともに、組織の集団学習能力であり、戦略の「行動的」側面を強調。
  ○イノベーションがどのように起こるかについて言及。
  ○日本企業がどうやって競争優位を獲得したのかについて言及。
  ○個人の技能より、組織の技能を重視。
  ○キー・プレイヤーとしてのトップの役割の重要性をあげている。
  ×知識についての言及がない。
  ×日本企業がどうやってコア・コンビタンスやケイパビリティズを構築したのかについては明らかではない。
  ×ミドル・マネージャと第一線社員の責任は明確でない。
   ←知識創造組織においてはミドルこそが重要な役割を果たす。
  ×総合的な理論的枠組みに欠けている。


11、組織的知識創造理論の必要性
・本章でみてきたように、西洋経済学、経営学のさまざまな理論のほとんどは、知識その ものに触れていなかったり、知識創造についての議論にまで及んでいない。デカルト的 二元論によって、知識の主観的、身体的、暗黙的側面はほとんど無視されたままである。 また、組織論においても、既成の組織論は受動的でスタティックである。
・次章から、「新しい製品、サービス、組織形態を作り出す知識を組織がいかに創り出すか」  について、いよいよ本題に入る。

以上

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