第3巡:討論:岡田 担当分

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発表:2003/06/26

基礎プロジェクト2「イノベーションのジレンマ」討論資料

30780 岡田 裕介

1.大企業が利益率が大きい上位市場にむかいやすく、単純低価格の下位市場に移行しに くいのはなぜか。

 大企業の優秀な経営者は組織の成長を維持させようとする。しかし、企業が大きくなれ ばなるほど、成長率を維持するのは困難である。そのためには、利益率が高く市場規模が 大きい持続的技術を改良した新製品の方が合理的である。そして、もう1つの理由は大企 業にとってもっとも収益性の高い顧客は通常は破壊的技術を利用した製品を求めないので、 優秀な経営者はその最高の顧客の意見に耳を傾け、破壊的技術への投資を減少させてしま う。これは資源配分プロセスによるものであり、後述するように破壊的技術へ十分な投資 をしたい場合は、市場規模に見合う大きさの組織をその資源配分プロセスから独立させる 必要がある。
 このように筆者は述べている。しかし、この時代において現実にこのような現象が見ら れるであろうか。筆者は年間成長率20%の企業の例を挙げていたりするが、そのような 安定で爆発的な成長をする企業は珍しいと思う。また、企業がおおきくなればなるほど既 存の市場だけで成長を維持するほどの利益をあげることは困難であると思われるし、少し でもおおくの利益をだすためにはローエンド市場といえども見逃す手はないであろう。ま た、今日では低価格市場というものが確立しはじめ、低価格製品の販売で成功した企業も 多く大企業も注目している市場であるといえる。このように現代では、大企業の上位への 移動性というものは弱くなって、新規参入企業にとっての破壊的技術の魅力というものも よわくなっているのではないか。

2.破壊的技術が出現したとき経営者はどう対応するべきか。

・破壊的技術を開発し商品化するプロジェクトを、それを必要とする顧客をもつ組織に組み込む。
・そのプロジェクトを小さい市場に見合った大きさの組織に任せる。
・破壊的技術の市場を探るときに、失敗を早い段階で食い止めれる計画をたてる。
・破壊的技術の開発に取組むにあたって、主要組織の資源は利用するが、プロセス・価値基準は利用しないようにする。
・商品化の際は主流市場に売り出すのではなく、新しい市場を開拓する。

 このように筆者はまとめている。私の意見は、この方法は大企業が破壊的技術に対面し たときに生き残るために有効であると考える。大企業が破壊的イノベーションに直面して 失敗した理由は、その技術を自分達の顧客が必要とせず、その市場が自分の企業の利益を 満足せず、自分の企業のプロセスで開発・商品化を行なおうとしたからである。ここで、 新たな組織を作る方法として筆者が紹介しているのが、独立した組織をスピンアウトさせ るか、適度な企業を買収するという方法である。しかし、それだけしか方法はないのであ ろうか。
 BCJコンサルティングの代表取締によると、(WEBから勝手に引用)
『まず、スピンオフとスピンアウトの違いについてですが、日常的には、どちらも「会社 を辞めて起業する」という意味で主に使われており、同義語になっています。同じ意味の 言葉が2つ使われていますが、私見になりますが、スピンアウトという英語の、アウトと いう語の意味から、スピンアウトは飛び出すということをより強調された言葉になってい ると思われます。BCJが事務局委託を受けました経済産業省主催の「スピンオフ研究会」 では、ペンシシルバニア大学ウォートン校のイアン・マクミラン教授は、「スピンアウトと は、スピンアウトされる部門・出て行く人に対して企業がまったくかかわりをもちたくな いと思っている場合で、スピンオフというのは今後もなんらかの関係を企業が持ち続けた いと思っていることだ」と述べています。なお、米国では狭義の「スピンオフ」として、 新会社の株式を親会社の株式に割り当てる方式のみをさす場合があります。』
 つまり、スピンアウトだと、完全に別の企業ということになる。この場合、スピンオフ という単語の方が適切なのであろうか。というふうに調べていると、今日スピンアウトし てできたベンチャー企業はとても多く、有効な方法なのであろうと感じた。

3.破壊的イノベーションの失敗は技術的なものではなく、マーケティングの上で失敗したことによる。

 このように筆者は述べ、第10章において電気自動車を例にとりどのようなマネジメン トをすればよいかというシミュレーションをしているが、個人的にはかなり理想論である し、結果論ではないかと考える。10章において、電気自動車を開発するにあたって、ま ずその新技術が破壊的技術であるかどうかを判断する。それは、それが現在どれくらいの 性能があるかということと、これから顧客のニーズとくらべてどのように成長していくか を調べることによって行なう。その後、破壊的技術であったなら、その技術がどのような 市場に受け入れられるかを模索しようとしている。しかし、実際このような手順が取られ るのであろうか。新しい技術を開発するためには、まず第一に、どのような性能を追求す るのか、どのような消費者をターゲットにするのか、というコンセプトが重要になるので はないかと思う。この議論では、まずなにか技術がどこからか現れて、それに乗り換える かどうかという議論しかなされていなく建設的ではない印象を受けた。

4.破壊的技術の性能が向上するまで待つべきではないのか。

 筆者は、市場のニーズに応えられるように性能が向上するまで待つと失敗すると述べて いる。これも理想論を含むのではないだろうか。この本では、新技術が破壊的技術である かどうかを判断するために、その技術の、現段階での主流の顧客が求める性能の成長率と 市場が求める成長率との比較が必要であると述べており、ここに多少の矛盾があるのでは ないだろうか。では、一体どの段階まで成長を待って破壊的であるかどうかを判断すれば よいのであろうか。また、その成長率は常に維持されるのであろうか。実際には、その技 術がどう成長するかを判断するのはかなり難しいを思われる。成長しない技術に対して早 めに参入してしまうことがよくないのも明らかである。また、受け入れられる市場を探し ているあいだにその技術がどう変わっていくかも不明である。この本では、そのような開 発段階における議論が不十分ではないだろうか。

まとめ

 このように、個人的な考えみたいなものを述べてはみましたが、この本に書かれてある ことは事実は事実であり、私はとくに反論する部分もないのですが、筆者の結論の出し方 には多少の不自然さと疑問を感じたので、このように考えました。なんだか、論点があち こちに飛んでいって、結局言いたいことは最初と最後に書いてあることだけだったりする ので言いたいことは分かって納得もできなくはないけど、釈然としないというのが感想で す。以上。

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