第3巡:総括:坪内 担当分

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発表:2003/07/03

基礎プロジェクト2「イノベーションのジレンマ」 総括レポート

30795 坪内 俊一

1)内容の概要

第1章
  ディスク・ドライブ業界の歴史を振り返ることで、なぜ優良企業が失敗するのかという疑問を検証し、大手企業は顧客に束縛されている為に失敗するという結論を得る。
第2章
  バリューネットワークという概念を用い、優良企業の失敗する理由を説明している。組織の価値を測る基準や、コスト構造などはその組織が属するバリューネットワークにより決められる
第3章
  掘削機業界においても破壊的技術による侵食が起こったことをみていく。
第4章
  有力企業はより利益を多くあげることが出来るバリューネットワークの上位市場へ移行しようとする。しかし下位市場には移行することができない。この事実をディスク・ドライブ業界と鉄鋼業界で指摘している。
第5章
  企業の投資パターンを決定するのは実質的には顧客である。このことを理解し、この力に逆らわない方法を選んだ企業は成功する、ということを各業界の事例を基に述べている。
第6章
  破壊的イノベーションに直面したときに有効な対処の仕方として、組織の規模を市場の規模に合わせることを挙げている。
第7章
  破壊的イノベーションを商品化する際に問題となるのは市場がないことであり、その市場を見つけ出す必要があることを述べている。
第8章
  組織は独自の価値基準をもっており、組織の行動を規定しているといえる。変化に直面したときにそのことを強く意識する必要がある。
第9章
  歴史を振り返ってみると市場が求める以上の性能が供給されるようになると、破壊的技術が出現する。このことを各業界で確認している。
第10章
  電気自動車を例に破壊的イノベーションのマネジメントについて述べている。
第11章
  全体のまとめを述べている

2)議論の概要

○「優良」経営、「不良」経営はどのように判断すればよいのか
  一つの基準としてはその会社の売り上げ・業績をもとに判断するというものがある。しかし、たとえ業績が下がったとしてもそれが破壊的技術に対応するために生じた減退なのか、他に存在する問題のせいなのかを判別する必要がある。また、破壊的イノベーションが成果として現れるには時間がかかるので、将来を見とおすような人材が必要である。
  以上のような点をふまえると、求めるべき新しいシステムは
 【1】将来を見とおす能力を持つ人材を揃えている
 【2】新技術に対しては従来の技術と平行して研究開発を行う
 【3】そういった制度に対して理解力ある人物が企業の経営にあたる。終身雇用・年功序列といった考え方に囚われないようにすべき

 ・新技術を従来のものと平行して研究開発をおこなうことは難しいのではないか。市場で求められる水準になってからでは遅いというのが本の見解である
 ・終身雇用はむしろ失敗がつきものの破壊的イノベーションにはいい制度なのではないか

○破壊的技術かどうかを見極めるにはどうすればよいか
 本の中で事例紹介されているものは、後から振り返れば破壊的な技術であるとわかるが、当時は破壊的か否かを判別ができないのだから、積極的に破壊的イノベーションに投資する事など出来ないのではないか。

○独立組織は破壊的技術に対して本当に成功しやすいのか?
 組織を独立させる事で、有利な点が紹介されているが必ずしも成功するとは限らないのではないか。その例としてhpがあげられる。hpは一旦は組織を分割したものの、その後の合併などで肥大化し、マイナス成長に転落している。
 ここでマイクロソフトが成功していることを考えると、規模の効果を活用していくべきではないのかとも思える。

・マイクロソフトが成功している例は、独立組織が破壊的イノベーションに有効か否かの例として提示するのは不適ではないか

○先進国に対して、後発国は破壊的イノベーションであるか
 先進国の先端技術の開発などは、持続的イノベーション、後発国の安い人件費は破壊的イノベーションにあたるのではないか。今後、先進国はハイエンド市場に逃れるしか対処法がないのであろうか・・・

○大企業が上位市場にむかいやすく、下位市場にむかいにくいのはなぜか
 大企業は成長率を維持するためにより利益の大きなハイエンド市場に移行しようとし、利益の小さなローエンド市場には、技術的に可能であっても移行しようとはしない。
 しかし、本で紹介されている例では、年間の成長率が20%などという企業がでてくるが、そのような安定して爆発的に成長する企業は珍しいのではないか。現在では、低価格の市場も大企業に注目されていることを考えると、市場間の移行についての力は必ずしも強力であるとはいえないのではないか。

○破壊的技術の性能向上するのを待つべきではないのか
 市場のニーズに合うまで新しい技術の性能が向上するまで待つべきではないと述べられているが、新技術が破壊的技術か否か判断するために成長率を見る必要があるとも述べている。また、成長率は一定とも考えにくい。どの段階まで成長するのを待てばよいのか、そういった開発段階の議論が足りないのではないか。

○持続的イノベーションか破壊的イノベーションの区別は困難ではないか?
 固定電話に対する、携帯電話の関係は持続的なものか、破壊的なものか判断が難しい。携帯電話の初期の市場は固定電話に対して小さなものであったが、開発費用は大きなものであった。しかし、現在は固定電話の加入者数を上回っている。このように両方の特徴を備えているような技術も多く存在するのではないだろうか。

3)自分の見解

 この本の中でも述べられていることではあるが、新しい技術に直面したときにその技術が破壊的か否かを判断する事はやはり難しいと思う。仮に破壊的な要素を揃えていたとしても市場がみつからずに廃れていく技術も、多くあるだろう。そんな中、成功する技術を見分けるにはやはり顧客を観察する事とその機会を生み出す事であると思う。
 この場合の顧客というのは、それまでの主流顧客ではなく、周辺顧客や、全く関係ない業界の顧客も含めたものである。さまざまな顧客との関係をもつことにより、「成功しうる」破壊的技術を見つけ出す事が出来るのではないだろうか。
 「成功しうる」破壊的技術を見つけたあとにはこの本のなかで述べられているような方針のもと対処していけばいいと思う。
 もう一つの破壊的技術への対処として、破壊的技術の入りこむ余地を与えないという方法も考えられる。これは、マイクロソフトの戦略に見ることが出来ると思う。業界での支配的な地位を占めているからこそできるものかもしれないが、顧客の需要を引き上げるような戦略をとることができれば、破壊的技術が入りこむ余地がそもそもできず、市場を侵食される心配もないだろう。

以上でレポートを終わる

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