コンポーネント対コンポジット

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作成:2006/06/19

はじめに

研究室に液晶フルハイビジョンテレビがやって来ました。
地上デジタル放送などのハイビジョン番組は感動するくらい綺麗です。
そこでPS2を接続して、Final Fantasyをしようとしたわけですが、あまりに画質が汚い。
PS2は通常のNTSC用なのでハイビジョンの半分くらいの解像度しかないのは知っていますが、
半分というか3分の1くらいの解像度しかないような画質の悪さなのです。
これは映像伝送系が悪いのではないかと思ったのがきっかけでこのページを作りました。

まず始めに映像表示に関する基礎知識を解説します。

走査線数

テレビはRGBを横に敷き詰めた横線を、縦方向に多数並べて画面を構成している。
この横線の個数が走査線数で、きめ細やかかを表す指標になる。
走査線数は、映像信号に含まれる総走査線数と、実際に表示される有効走査線数がある。
これはブラウン管テレビなどで走査線を上から下に電子銃で描いた後に、
再び下から上に戻す時間(帰線区間)が必要になってくるためである。

総走査線数(有効走査線数)には、1125(1080)、750(720)、525(480)の3種類が主にある。
アナログテレビ(NTSC)やDVDは480で、ハイビジョンは1080である。
(ちなみに「ハイビジョン」は日本語で、世界的には「HD(High Definition)」)
1080走査線のテレビは技術的に作成が難しいため、720に間引いたハイビジョンもどきがある。
1080を720と区別するために、フルスペックハイビジョン(フルHD)と呼んだりする。

走査方式

走査線を描く方法にはインターレース(p)とプログレッシブ(i)の二方式がある。
走査線数と合わせて、1080iなどと表す。
プログレッシブは走査線を上から下に順番に1本ずつ描画していくもの。
対してインターレースはまず最初に奇数番目の走査線を描き、
次に偶数番目の走査線を描くといたように2回に分けて1枚の画面を描くもの。

テレビの画像が人間の目で映像に見えるためには、毎秒60回程度の書き換えが必要である。
放送電波という少ない伝送帯域では毎秒60枚の画像転送が難しかったので、
人間の目の残像特性を利用して、半分に間引いて送るインターレースを用いることになった。
しかしインターレースは交互に描画するため画面がちらついて見えることがある。
このため細かい文字などを扱うパソコン画面ではプログレッシブ方式が用いられる。

表示比率

画面のサイズは、従来型のテレビ画面は4:3、ハイビジョンは16:9となっている。
なお、DVDに収録されている映画なども殆どは16:9である。
テレビ映像には、16:9モニタ(1080i)向けと4:3モニタ(480i)向けがあり、
それぞれに16:9画角情報を付加したものと、4:3画角情報を付加したものがある。

16:9モニタで4:3画角映像を見る際や、4:3モニタで16:9画角映像を見る際は、
左右や上下に黒帯をつけたり、縦横比を変更して全面表示することになる。
現在は16:9と4:3が混在しているため、たとえばテレビ局側で撮影した4:3映像を、
左右に黒帯をつけて16:9画角として地上波デジタルで放送すると、
4:3テレビで地上波デジタルを受信している人は映像上下に黒帯が付き、
額縁のような表示になってしまうといった問題が生じることがある。

Y/Cb/Cr

テレビやディスプレイは色を表現するのに、赤(R)と緑(G)と青(B)の組み合わせを用いている。
PCとディスプレイの間のデータ伝送はほぼすべてがRGBで行われているが、
テレビモニタへの映像伝送は輝度(Y)とB-Y色差(Cb)とR-Y色差(Cr)で行われている。
これは白黒テレビとの互換性を保つためで、輝度信号だけを取り出せば白黒放送となる。
RGBとY/Cb/Crには例えば次のような関係があるが、係数等は定義によって変わってくる。
R=Y+(1.402)Cr、B=Y+(1.772)Cb、G =Y-(0.344)Cb-(0.714)Cr

人間の目は明るさの変化には敏感だが、色の変化には鈍感なため、
Yに比べてCb/Crが多少情報量が少なくても気付きにくい。
この性質を利用してCb/Crを混合して一本の色差信号(C)として伝送したりされる。

映像信号の種類

ビデオやゲーム機からテレビへ信号を伝送するには、いくつかの方法があります。
音声に関しては、HDMIを除くと白と赤の2本のケーブルで左右音声を分けて伝送します。
このケーブルはピンプラグやRCA端子と言われます。
映像に関しては、主に次の5つの方法が使われています。

コンポジット端子

コンポジット:Y/C混合

音声ピンプラグと同じ端子を使用するが、ピンの色は黄色。
黄・白・赤の3本セットで、現時点で一般家庭で最も使われている端子。
ピンの部分に映像信号が流れ、周囲の部分はGND。
映像がケーブル1本だけで伝送できるので、非常に接続・配線しやすい反面、
輝度信号(Y)と色差信号(C)を混合するため画質があまりよくなく、アナログテレビ向け。
YとCをうまく分離できないと、特に色の輪郭付近で、
ドット状の斑点(ドット妨害)や、虹色のにじみ(クロスカラー)が発生する。

セパレート:Y/C分離

Separate端子ということで、S端子と呼ばれる。
名前の通り4本の「八」の字形のピン挿入口が存在し、
右側で輝度信号を、左側で色信号を伝送(上側が信号、下側がGND)。
輝度信号と色信号を分離して伝送するため画質の劣化が少ない。
通常のS端子に16:9映像を識別する信号が付加されたS1端子・S2端子がある。
S1では左右に圧縮したスクイーズ信号、S2では上下に黒帯を付加したレターボックス信号が付加。

コンポーネント端子

コンポーネント:Y/B-Y/R-Y

色信号(C)を青と赤に更に分離し、
輝度(Y)とB-Y色差(Cb/Pb)とR-Y色差(Cr/Pr)の3本の信号線で伝送。
接続は最近ではピンプラグの物が多いが、BNC端子も使われている。
端子の色はYが緑、Cb/Pbが青、Cr/Prが赤で、RGBのようになっている。
DVD入出力用で480iのみに対応できるY-Cb-Crと、
HD入出力用で1080iのみに対応できるY-Pb-Prと、
DVD/HD入出力用で480i,480p,1080iに対応できるY-Pb/Cb-Pr/Crがある。
どの映像方式かを識別する信号が無いことと、
映像伝送に3本のケーブルがあって接続が面倒なため、次のD端子が日本では広まっている。

D端子

D端子

アナログ信号でDigitalの略ではない。端子の形がD形であるからこう呼ばれる。
基本的にコンポーネント端子3本を1本にまとめたもので日本独自の規格である。
ピン配列は、D字形の左上から左下にかけて1〜7番、右上から右下にかけて8〜14番。
6本で映像信号を伝送(1:Y、2:Y_GND、3:Pb、4:Pb_GND、5:Pr、6:Pr_GND)し、
14番と12番(GND)でホットプラグ検出をし、7,10,13番は予備ピンで、
直流電圧によって8番で走査線数、9番で走査方式、11番で画角を識別する。
これによってコンポーネント端子に加えて映像種別まで識別できるためわかりやすい。
対応する映像によってD1(480i)、D2(480P)、D3(1080i)、D4(720P)、D5(1080P)がある。
ハイビジョンテレビではD4対応(D1,D2,D3含む)のものが多い。

DHDMI

HDMI

High Definition Multimedia Interfaceの略。
PCとディスプレイをデジタル接続するDVI規格をAV家電用に改変したものになる。
D端子などと違ってHDMIではデジタル信号を非圧縮で伝送するため、映像が鮮明。
1本のケーブルで映像とともに音声や機器操作信号も伝送可能である。
著作権の関連からデータは暗号化して伝送される。
物理層はT.M.D.S.が、信号の暗号化はHDCPが、
機器間認証はEDIDが、系全体の制御系接続はCECが採用されている。
伝送速度は5Gbps程度で非圧縮HDTVも余裕で送信できる。

通常は19ピンのタイプAコネクタが使われている。
各色16bitで1080p出力が可能なHDMI2.0も発表されており、ゲーム機PS3にも搭載される予定。
これからはD端子は廃止され、HDMI全盛期になると思われるが、まだ普及途上。

実際の効果

フルHDテレビに対して、コンポジット接続とコンポーネント接続でどれだけ違うか確認しましょう。
SHARPのAQUOS(LC-45BE1W)にPS2をコンポジットと、コンポーネント(D端子)で接続します。
その結果をデジカメで撮影した結果が以下です。
当然手ぶれの影響を防ぐために、三脚を使用しています。

 ←コンポジットサンプル← →コンポーネントサンプル→
コンポジットサンプル1  コンポーネントサンプル1
ファイナルファンタジーXIIのある場面での画面全体です。
目で見た状態だと、この状態でもすぐわかるほどの違いなのですが、
写真にとってしまうと詳細部分が見えにくくなってしまうので、
中央の主人公ヴァンの付近を拡大します。
コンポジットサンプル2  コンポーネントサンプル2
ヴァンの顔や衣装、背景、スマイルマーク、どれを見ても明らかにコンポーネントが綺麗です。
コンポジットでは輪郭がぼやけていますが、コンポーネントでは輪郭がはっきり出て
ピクセル単位でギザギザ(ジャギー)までほぼ正確に出力されている様子が観察できます。
参考までに、ゲームのステータス画面も見てみます。
コンポジットサンプル3  コンポーネントサンプル3
ここでもコンポーネントの方が、文字の部分を潰さずに表示できているとわかります。
文字の部分は白黒というハイコントラストを1ピクセル単位で描画する必要があるため、
両者の違いが非常に出やすい結果となっているようです。
画面右側の時計マークのアイコン部分でも同様の結果が確認できます。

以上をまとめると、
「コンポーネント出力>コンポジット出力」
であり、驚くほどの画質向上がみられます。

ハイビジョンテレビのおかげで、通常テレビ画質のPS2ですら、
これだけ綺麗に表示できるのかというほどの画質を誇っているわけですから、
HDMIで1080pをデジタル接続するPS3ゲームが発売されて、
フルHDを存分に活かせるようになったら、いったいどんな世界が待っているんでしょうね。

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